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ちはるさん(中編)

前編に続く中編のインタビューは、結婚後の子育ての中でちはるさんが考える子供と親の関係やコミュニケーションについて、またちはるさんが一から関わった家づくり、最初の本の出版についてのお話などを伺った。(聞き手:小林里咲 / 写真:近浦啓 / 収録:2007年6月22日)

"子育てを始めてやっと、自分を許せるようになった"

―結婚後、子供を育てていく中で学ぶことってありますか?

それはもう、たくさんあります。子供が電気つけっぱなし、蛇口をしめない、忘れ物もいっぱいする、とか本当にだらしなくて。いつもすごく怒るんですけど、全部私自身のことなんですよね。私のダメなところは子供もダメ。だから子供を怒りつつ「あー、私ができてないんだよな」と気づかされます。
お母さんになると、みんななるべく完璧になりたいと思うんでしょうけど、完璧な人間って無理ですよね。私は子育てを始めてやっと、「ああ自分ってこういうところがだめなんだな」としっかり自分の中で受け止められるようになりました。受け止めた上で、ここは変えていこう、あるいはこのままでいいんじゃないかとか。そういうことをすごく考えられるようになって自分自身が広がり、自分自身を許せるようになったような気がします。

―楽になったような?生きやすくなったという感じですか?

そう。子育てはちょっと考え方がずれてしまうと、どんどん追い込まれたり、どんどん小さくなったりしがちですけど、ちょっとの考え方次第で逆に広がるケースもすごくあると思うんです。自分もそういうことのきっかけになれたらいいなと思いますね。

"自分がどうなりたいか、何がやりたいか、
そういう事をちゃんと考えている人間ってすごく強い"

―本の中に書いてあった「子供が親の顔色を見るのは自然なことだと思います。でもその逆はだめ。」というところがとても印象的だったのですが、それは実体験から学んできた事ですか?

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そうですね。私の両親は商人なのであまり顔色とか伺わず思ったことをそのまま言うような親でした。例えば自分が機嫌悪ければ機嫌悪いし、ジャイアンツが勝ったらもの凄く機嫌がいい。逆に私が親の顔色をうかがって「おねだりは今だな」とか思ってました。そういう環境で育ってきたから上の人から注意されても素直に受け入れることができます。みんながみんないつも気持ちが安定してる訳じゃないじゃないですか?親だっていらいらする時もあるし。そういうことは教えていくべきことだと思います。子供にとって一番近くにいる年配の人間ですから。自分はそういう環境で育ってすごく良かったと思うので、自分の子供にも装ったりせずにそのままの自分を見せています。よく子供への接し方・怒り方がわからないと相談を受ける事もありますが、愛情が伝わっていれば子供にどう思われているか気にせず接していけると思います。
私も何か勢いにのって怒ってしまった時は昔のことにまでさかのぼってしまい、もの凄く大きくなることもあります。怒りすぎちゃったなと思った時は夕飯の時に好きなもの出してあげたり、「怒りすぎてごめんね」って言ってみたりします。といってもそっけない「ごめんね」ですが(笑)。やっぱり基本的に怒るとか自分をぶつけるのは信頼してるし愛してる、そういうことがあるからだと思うんです。怒ったくらいで嫌われるとか叩いたから子供がねじ曲がるとか、そういう固定観念を持っているのはとても怖いと思うんですよ。子供の性格にもよるとは思うんですが。

自分のことをアツコという彼女は、それこそ子どもと対等に対峙(たいじ)します。お母さんもひとりの人間なの。人として今、きみのやったことは許せないの。彼女の気持ちが、飾らないその言葉から直球で子どもの心に飛び込んでいくようです。正直にぶつけるから、子どもからも正直な言葉が返ってくる。その言葉のキャッチボールが、私にはとても潔く見えるのです。

Loving children(主婦と生活社)』chiharu p.52

―やはり親と子の間合いや距離感って大事ですね。そういう意味で親も子供の顔色をうかがう、子供も親の顔色をうかがうというコミュニケーション不全のままで進んでいくと、子供が成人した時に、果たしてどれくらい親に本音で話せるのだろうかと考えてしまいます。ちはるさんのお話を伺ってると、すごく対等なように感じます。根底の部分に愛情だったり、信頼関係があるからこそ目線を完全に合わせられるような感じがします。周りのお母さん方から見本にされるんじゃないですか?

どうでしょう。私はこれでいいんだという気持ちはありますけど。やっぱり、自分がどうなりたいかとか何がやりたいかとか、そういう事をちゃんと考えている人間ってすごく強いと思うんですよ。
どういう人間になってもらいたいとか親がおしつける前に、その子の良い所を見て伸ばしてあげるのが一番だと思います。塾に行かせないとどうだとか、ゲームをやると子供はぐれるとか、決めつけられたことをすり込まれて信じてしまう人が多いですよね。

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すぐ「普通は」とか「常識的に考えると」などと言う。私から見ると自分の常識を持っていなくて、なんかすごく辛そうに思えるんです。

"「普通はこうですよ」って言われるのが一番キライ"

―そうですね。「こう言われてるから」とかではなくて。

そうそう。情報がすりこまれてるから、それすらも気づかないかもしれないですよね。だから自分の子育てを振り返った時にすごく周りの情報に踊らされていたようで、もったいなかったなと思います。
私も37歳になり、長く付き合って心から信頼できる、良い所も悪い所もわかり合える友人と付き合っています。子供も同じだと思うので、その子のすごくいい所や悪い所、そういうことを見るのが大切だし、その子が何をやりたいのかを聞いて、引き出してあげられたらいいなと思ってます。

―最初におっしゃってた「失敗を恐れない」というところにもつながりそうですね。 ところでちはるさんはインテリアや家作りについて、実際本当に一から業者の人との話し合いや職人さんとのやりとりなどを重ねて、すごくこだわって家作りをなさったとそうですが振り返ってみてどんなことが大変でしたか?

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本にもいろいろ書いてますが、仕事においても「普通はこうですよ」って言われるのが一番キライです(笑)。私にとってはそうじゃないのにってことがありますから。 家作りの時の担当の方が若い設計士の方で、私と1歳位しか違わなかったんです。だから余計わかってもらえないのが悔しくかったですね。「私もちはるさんと同じように思うんですけど、うちの会社はこういう方針なんです」とか「普通建売というのはこういうものなんですよ」などと言われました。「えー、それを変えるために仕事してるんでしょ?。なぞるために仕事してるの?」と思ってしまいました。なぜ私が35年ローンを組むのに、人と同じ家を建てなくちゃいけないの?という気持ちがありました。自分が納得できる家を建てたいと思っていたんです。

1月25日
工事が始まってから、毎日のように現場に顔を出していたけど、このところ仕事が忙しくて行けなかった。3日ぶりに行ってみると、
「久しぶりだなー。顔を見せないから、どうしているかと思ったよ」と棟梁。
 最初の頃は「なんだ、又来たのか」ってうるさそうにしていたのに。棟梁、ホントは私が来るのを待っていたんじゃない!?

Love home(主婦と生活社)』chiharu p.58

"人に思いを伝えるには
同じ土俵で話せる知識が必要"

―本を見ていても随所随所にこだわりが感じられました。

現場に家も近かったので1日に何度も足を運んでいるうちに棟梁とも仲良くなりました。それでも、棟梁や設計士の方と話す時に知識がないと思いが伝えられないと気づいて、インテリアコーディネーターの学校に通いました。勉強するのもまた楽しくて。住宅のことを勉強していくと、問題点とかも見えてきました。だめと言われたらこれを出してやるぞ、というようなものをいっぱい用意してましたね。その家作りをきっかけに自分の企画したものを形にしていくということに目覚めたのかな?と思います。

―まさにそのフィールドって感じだったんですね?

そのためにプレゼンの場みたいに、あちらが3つ位提案してくるところをその倍位提案しました。「こういう感じはどうですか?こういうペンキはどうですか?いいのがあるんだけど」というように。そうするとだんだん私の気持ちも伝わり、「そっちの方がいいですね」とか「今こういうもので同じような素材を探してるお客さんに回していいですか?」とか言われるようになってきたんです。やはり人に思いを伝えるには同じ土俵で話せる知識が必要だと。そのあたりは家作りがあって学んだかもしれません。 その後、家を取材されて「いいですね」とか言われることが多くなって、自分が家を建てる時にこんな本があったらいいのに・・・と思っていた本を作りたいと思うようになったんです。自由に発想出来る本でそれでいて飾っておける本を企画したいなと思ったんです。
その本を出すのに最初は「ちはるさんの素敵なお家」というようなタイトルをつけなかったら、売れないとか言われ、最初は凄く少ない予算で作り始めました。ですからロケの時の食事はいつも安いファミレスだったり、まかないを家で作ったりしました。でもそのメンバーはお金じゃなくて、本を作りたいという気持ちでつながっていたので良い本ができたのだと思います。売れるはずないと思われていたんですが、出版したら最初の1週間で重版がかかってすごく売れたんです。 自分の写真もあまり入れたくなかったので、首からをカットしたり、足だけ、手だけとかを使ったりしました。カッティング、ポジ切りの作業とかも私達で全部やりました。校正も入らなかったので、最初のものは英語の表記の間違いなどが多くて(笑)。今は直ってますけどね。(次週に続く)

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撮影協力:CHUM APARTMENT(チャム アパートメント)
今回撮影に協力して頂いたCHUM APARTMENTはちはるさんご自身がオーナーを務めるカフェ&スタジオです。カフェの前ではグリーン達がお出迎え。カフェのドアをあけると、天井が高く開放的なスペースが広がります。いろんな表情を見せてくれるシャンデリアやランプに彩られた店内には、ゆったりと座れるソファ席、お寿司をにぎってもらえるカウンター席もあります。(詳しく読む

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