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ちはるさん(後編)

最終話となる後編のインタビューは、ちはるさんがカフェを始めたいきさつ、現在の目黒のカフェchum apartmentを通してのお客様やスタッフとのコミュニケーション、経営者としての視点などのお話を伺った。(聞き手:小林里咲 / 写真:近浦啓 / 収録:2007年6月22日)

"飲食というよりみんなの居場所を"

―ちはるさんがカフェを始めたいきさつってどういったところからだったんですか?

大勢の人が集まれる場所が欲しい、おいしい料理をいつでも楽しめる空間をつくりたい。自宅を建ててから、好みのインテリアをつくり上げていく楽しさにますます目覚めた私の中で、お店づくりの夢が動き出したのは4年前…。

to the rooms(セブン&ワイ出版)』chiharu p.93

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最初の著書「love home」の発売日にあわせてホームページをスタートさせたんです。
そうしたら、今までちはる=ミモーのイメージがあったと思うのですが、ミモーを知らない人や、知っていても私じゃないと思って来てくれる人も多くて。そこからファンになってくれた方も増えたんです。例えば同年代でお子さんがいる方や、将来的に家を建てたいと考えている方、インテリアが好きな方など、たくさんの方と知り合えました。
ホームページでいろんな方とやりとりしているうちに、オフ会のような企画が上がり私も参加したんですがみんな素敵な人たちで。ちょうどインターネット、ホームページが盛り上がっていた時期だったので、ホームページの掲示板でも「ちはるさん、カフェやってよ」という話がでてきたんです。いろんな人と出会える場所をつくりたいと思っていたので、カフェを作ればいつでもオフ会みたいにみんなが来られるし、アーティストの方とのコラボもできるし、やってみようと。それが始まりだったんですよ。

―それで、南青山のchumができたんですね?

そうです。最初は飲食というよりみんなの居場所を作るという意味で始めたんです。
日本のカフェ文化は、カフェ=こんなインテリアで、店内は白系、みたいなイメージ先行なところがすごくありますよね?私自身なかなか夜カフェにご飯を食べに行きたいとは思わなかったので、ゆっくりお酒が飲めて食事ができる大人の人に来てもらえるカフェにしたかったんです。そのうち、「もっと料理をよくしていきたい」とか「もっとたくさんのアーティスト作品を置きたい」とか、改善したい点が出てくるようになりました。色々考えると、店も手狭でやれる事も限られている、それで場所をまた探し始めました。偶然見つけた下目黒の物件は、大きな倉庫。インテリアやメニューの発想も広がりました。前のコンセプトに加えて、夜も毎日変わるメニューがあって、コーヒーだけでも大丈夫、そういうお店にしたかったので、職人さんに入ってもらいお寿司を出す事にしました。私も、お寿司が大好きなので(笑)。

"誰かの協力があって、誰かと同じ目標を持って追いかけるということ"

―また新しいカフェになって、Chum Collegeで様々なスクールをやったり、カフェの設備もちはるさんなりのこだわりが感じられますよね。スタッフと一体になって作っていくことや経営者という立場でスタッフみんなをまとめていくというのはなかなか大変ですよね?

大変なのはわかっていて始めたので、基本的には人と繋がりたいからやってる所が大きいですね。基本的に私はとっても寂しがり屋で、一人ではいられない、一人では何もできない人なんです。やっぱり誰かの協力があって、誰かと同じ目標を持って追いかけるということが好きなんです。だから大変なところもあるけど、楽しいことの方が多いですね。スタッフもみんなポジティブなので、休みがなくて大変な時期も「お店のこういう体制がいけないからだ」と責めたり、人のせいにしたりしないんです。みんな結構意地っ張りだから、自分が変えればいいんだと思うタイプみたいです(笑)。

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スタッフも自分のお店だと思って働いてくれているのでうれしいですね。    

―それが一番ありがたいですね。

そうですね。でも中には、自分がやりたいことや目指してることはここじゃないと言って離れていくスタッフもいます。しょうがないとは思いますけど、自分もそうやってこれまで道を選んできてますし。だけど長年働いてくれたスタッフがいなくなるのは、辛いですね。

"長く続けていくことが大事。
お客様、目黒を知ることが大切。"

―今後さらにやっていきたいことやチャレンジしたいことってありますか?

今はいろいろな事を知りたいので、勉強や知識を貯めていく、インプットの時期だと自分では思っています。思いついたことを、あれもこれもやるというアウトプットする時期ではないと。
CHUMには、色々なお客様がみえます。知識のある人や、人の話をいっぱい噛み砕いてきてる人、いっぱい失敗を重ねてきてる人、そういう方々の話を聞いていると、内容や考え方にすごく趣があるんです。そういうところが私には足りないってすごく実感しました。だから少し止まってみようというか、そんなに慌てなくていいんだなと思ってるんです。

―発信するより吸収する時期というか?

そういう時期にしたいと思ってます。でもずっと走り続けてきた分、止まり方がわからないんですよね。止まると、とことん止まっちゃう(笑)。
カフェを長く続けていくことが大事。お客様、目黒を知ることが大切。

―著作の「to the rooms」の中にお金とちゃんと向き合うとことを教わったといコラムがありましたね(下引用部分参照)。とても印象深かったです。もともとご両親がご商売をされていて、お客さんがいて、そういうことを真近に見てきたということも影響があるんでしょうか?

「お金のことを考えるのは、お客さまにどう喜んでもらえるかを考えることと直結するんだな」と気づきました。
 たとえばサービスや設備にかけられるコストが明確になれば、おしぼりひとつのクオリティにまで考えが及びます。このドリンクの出し方が次の1杯につながるか、この味に対する価格をお客さまは100%満足できるか。結局、最終的にはお客さまが満足しない限り、店は発展しないのです。

to the rooms(セブン&ワイ出版)』chiharu p.72

それはとても大きいと思います。あまりお金に執着がないというか、お金が欲しくてやっている訳ではないんです。別にかっこつけている訳ではなくて、この年になってそれは自分の中ではっきりしてきました。 お金にすごく向き合って、会社経営の仕方も学んで、細かくコストを出してやっていた時期もあったんですが、結局ゆるくなってきますね。 今は売り上げを倍にしたいという気持ちではなく、長く続けていく事が大事だと思っています。そのためには、お客様に来続けてもらうことだったり、お客様を知ることが大切だと思うんです。 お金にすごく目を向ける時期も必要だし、回らなくなってきたらそこにてこを入れたりしますが、最終的にはバランスですね。全部をバランスよくやるというのはなかなか難しいですけれど。お金の事ばかり見ていて、スタッフもそういう子ばかり集まっては困るし、お客様を気持ちよくしたいからお金じゃないというスタッフだけが集まっても、問題ある場合もある。その都度その都度てこ入れをして、例えば値段を上げるべきか、それともスタッフの人数を減らすのかなどを店長やスタッフと腹を割って話し合いながら決めています。ただ、あまり神経質になってやり過ぎなくてもいいとは思ってるんです。 目先の売り上げばかりを考えると視野がとてもせまくなります。そうではなく、長く続けていこうと思うともっと大きな視野で考えられますよね。両親が45年位酒屋をやっているんですが、自分が経営者になってみてそれがどれだけ凄いかということを、とても実感しました。45年って凄い。自分がここでやるためにはと考えると、もっとこの目黒という土地を知っていかなきゃいけないし、ここで商売させてもらっているんですから、お返ししていかなければと思ってます。

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撮影協力:CHUM APARTMENT(チャム アパートメント)
今回撮影に協力して頂いたCHUM APARTMENTはちはるさんご自身がオーナーを務めるカフェ&スタジオです。カフェの前ではグリーン達がお出迎え。カフェのドアをあけると、天井が高く開放的なスペースが広がります。いろんな表情を見せてくれるシャンデリアやランプに彩られた店内には、ゆったりと座れるソファ席、お寿司をにぎってもらえるカウンター席もあります。(詳しく読む

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